Final Fantasy 14 という、プレイヤー間の結びつきによって生まれるオンラインゲームの世界観を、効果音とその合奏の一体感という音楽的構造になぞらえて表現する超大型インスタレーション作品。工業製品が大量に整然と並べられた状況は、それだけで何か独特の美しさ、ただならなさがあるが、この大量の装置を素材として、個々のプレイヤーの存在を匂わせつつ、それらが突如一つのものとして共鳴し一体化するときの圧倒的なスケール感を実現することを目的とした。
実現の背後には高度に技術的な課題がある。オーケストラの指揮者のように全台の映像の再生タイミングを同期する仕組み、個々の楽器音にあたる大量の映像素材を再生する高度なプログラミング、楽譜にあたる再生パターンを編集する仕組みと数多くの技術的な要件があり、演出と技術的な要件とのトレードオフの中での制作は非常にチャレンジング。最後に、ピアノの自動演奏も加えました。無機質な装置の明滅に呼応するように演奏されるピアノは演奏者の気配を放つ。作品の音楽性を演出する重要な要素であり、ゲームについての知識がなくとも作品を楽しんでもらえるような工夫で、実は作品の肝となる部分でもある。
技術・実装・演出、全般に渡って担当をした。
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SQUARE ENIX
SIX inc.
AOI Pro.
Abacus Inc. / 齋藤達也